コラム
2025.05.28

KANABIカッティング・エッジ 第19回 ー 新しい金美の研究所と附属図書館へようこそ!

金沢美術工芸大学(KANABI)から最新のトピックをお届けする「KANABIカッティング・エッジ」。第19回となる今回は金沢美術工芸大学 美術工芸研究所と附属図書館です。大学事務局職員 橋本恵理子さんにご紹介いただきます。


新しい金美の研究所と附属図書館へようこそ!

金沢美術工芸大学が現在の新キャンパスに移転して、約1年9か月が経ちました。最初は旧キャンパスとの違いに戸惑っていた私たち職員も、今ではこの環境にもすっかり馴染んできました。今回ご紹介するのは、新キャンパスの象徴ともいえるアートプロムナードの入り口に位置する「2号館」。ここには、美術工芸研究所と附属図書館が入っており、訪れる方々に開かれた空間となっています。

アートコモンズと学生の姿

2号館に足を踏み入れると、最初に目に入るのが「アートコモンズ」と名付けられた開放的な空間。そこではモーゼ像が訪問者を迎え、4〜5月になると新入生が熱心にデッサンに取り組む姿が見られます。静かで張り詰めた空気の中、「納得いく一枚が描けますように」と、私も心の中でそっと祈っています。

1階の一部は美術工芸研究所と附属図書館の公開エリアとなっており、平日10:00~17:00は学外の方も自由に入館いただけます。
この2号館の大きなガラス窓から差し込む光はとても明るく、開放感に溢れています。重要な資料を守るために、直射日光はパンチングメタルや壁によって遮られており、機能性と美しさが共存する設計になっています。
晴れた日には、大きなガラス窓の外を、近くのこども園の園児たちが先生と手をつないで散歩する姿も。そんな風景を見ながら、「いつかこの中の子どもが、金美の学生として戻ってきてくれたら」と、未来に想いを馳せています。

平成の百工比照 展示・閲覧コーナー

1階には、全国の工芸資料を手に取って見られる「平成の百工比照 展示・閲覧コーナー」があります。
「百工比照」とは、江戸時代に加賀藩が収集した工芸標本に由来しますが、金美と金沢市と共同で、現代版の百工比照を平成に収集を始めました。教員たちが全国の産地を訪れて収集した資料が、このコーナーに収められています。
「陶磁」「漆工」「金工」「染織」の各分野ごとに、技法・制作工程・材料・道具・完成品などが収蔵箱にまとめられ、棚から自由に取り出してご覧いただけます。工芸技術の記録映像も視聴でき、データベース検索も可能です。
数多くの収蔵箱が並ぶ光景はまさに圧巻です。その一つひとつが宝物のようで、「うわ、素敵!」と声が漏れる瞬間がきっとあるはずです。

アートギャラリー

1階奥にはアートギャラリーがあり、本学の所蔵作品をテーマごとに展示しています。一般の方にも広く公開されており、学外の方も気軽にご覧いただけます。
私自身も毎回新しい発見があり、「こんな作品もあったのか」と驚きとともに楽しんでいます。
今年度は「コレクション展1『西洋美術・工芸の世界』」を皮切りに、3つのコレクション展と特別展を予定しています。

附属図書館

図書館はM2階・2階にあり、美術・工芸に関連する和書・洋書合わせて約12万6千冊を所蔵。学外の方も事前予約不要でご利用いただけます(詳細は下記Webサイトをご確認ください)。
展覧会の図録やパンフレット、各専攻に役立つ図書も充実しており、学生・教員・研究者にとって、知識の源泉であり、発想のきっかけとなる場所です。
学習スペースも多様で、1人で集中したいときやグループで学びたいときなど、目的に応じて最適な場所を選ぶことができます。

資料や作品を通じての出会い

美術工芸研究所では、工芸資料や作品を通して、附属図書館では所蔵資料を通して、訪れる方々にとって新たな気づきや創造へのヒントとなる出会いがあることを願っています。
皆さまのご来館を、心よりお待ちしています。

Information
金沢美術工芸大学
〒920-8656 石川県金沢市小立野2丁目40番1号
Profile
金沢美術工芸大学事務局 研究所・図書館係長
橋本恵理子(はしもと・えりこ)
金沢市職員。図書館関係では金沢市立泉野図書館、金沢海みらい図書館に勤務。現在は金沢美術工芸大学事務局で附属図書館と美術工芸研究所を担当。学生にとって図書館や研究所がより身近な存在になるように模索している。
金沢市職員。図書館関係では金沢市立泉野図書館、金沢海みらい図書館に勤務。現在は金沢美術工芸大学事務局で附属図書館と美術工芸研究所を担当。学生にとって図書館や研究所がより身近な存在になるように模索している。