2026年1月、大雪降りしきる石川県小松市を1時間半遅れで発った飛行機は、19時過ぎに無事最高気温20℃の南国沖縄へ到着した。アーツカウンシル金沢のディレクターである筆者はアーツカウンシルネットワーク(AC-net)ミーティング、そして翌日に実施される沖縄県文化芸術振興会(沖縄アーツカウンシル)主催の日帰りツアー《Deepな沖縄を感じる旅》への参加を主目的とする。全国からアーツカウンシル・芸術支援系の行政・任意団体職員が集まるAC-netミーティングの有意義な議論もレポートすべきに値するが、非常に専門的な内容となってしまうため、今回は約2日半の滞在中に触れた沖縄の芸術・文化模様を、《Deepな沖縄を感じる旅》を中心にレポートしていきたい。
沖縄県立博物館美術館(おきみゅー)
今回の旅の空き時間は、AC-netミーティングが始まる前の午前中のみ。翌日の「Deepな沖縄旅」にメジャーどころは含まれていないだろうと予想し、この時間を活用して宿泊場所から徒歩約20分のおきみゅーを訪れた。

博物館の常設展は、とにかく膨大な情報量だった。1つ1つの展示物に対する文章が多く、全て読むにはあまりに時間が足りない。右回りを推奨する古代から戦後までの流れを網羅できるひとまとまりの空間に対して吹き出しをつけるように自然史部門・美術工芸部門・歴史学部門などの部屋が接続されており、限られた時間でどの部屋を優先して見る(読む)べきか悩んだ。
大量の展示の中のごく一部ではあるが、一番写真を多く撮影できた民族部門について一部紹介する。




美術館では、「戦ぬ前」という展覧会が開催中。廃藩置県による沖縄県成立後、本土の美術教育がいかに沖縄へ普及していったかという経緯を網羅した絵画・工芸を主とする作品群が展示されていた。藤田嗣治や北川民次など、本土の巨匠が意外にも沖縄を訪れていることを初めて知った。ちょうど居合わせた美術系の高校生の一団が、あちらこちらで真剣に作品を模写していたり学芸員による解説を聞いていたりして、校外学習に真面目に取り組む現地学生の姿が微笑ましかった。
福州園

少し沖縄から脱線するが、AC-netミーティング開催会場へ向かう道中、海に近い久米という街で突如中華風の門構えに遭遇した。福州園は、中国・福建省と那覇市の友好の証として1992年に開園したという。福州式庭園と称される庭と数々の建造物は写真映えスポットになっているらしく、他の来園者はアジア系の家族連れが多かった。200円の入園料を支払って15分ほど散策し、併設されたレストランで中華ランチをいただいた。



崇元寺跡
宿泊場所近くの観光スポットである崇元寺跡には、巨大なガジュマルがあり一見の価値あり。15〜16世紀の琉球王国時代に建立された崇元寺は、第二次世界大戦にてその大部分が爆撃に遭い焼失した。通りに面した石造りの荘厳な門をくぐると、その先には建物の基礎らしき石板が地面に埋まっているのみで、その先は何もない広場である。にぎやかな国際通りやビルが立ち並ぶビジネス街を歩いてきた私たちは宿泊場所への道中で軽くガジュマルを見に来た、くらいのつもりだったが、図らずも住宅街に現れた戦争の記憶と出会うこととなった。





*崇元寺の画像提供は、偶然にも同時期に沖縄に滞在していた桜井旭氏。
冒頭、「沖縄アーツカウンシル主催のDeepな沖縄を感じる旅を中心に」と言っておきながら、実はここまでそれ以外の時間に出会った沖縄の文化スポットを紹介してきた。海、南国、シーサー、ハブ酒、紅いもタルト、海ぶどう、美ら海水族館…と、パッと思いつく「ザ・沖縄」を挙げればキリがなく、観光とバカンスのイメージが強い土地だが、一方で活気づく街を少し離れて歩くだけで、その根底に息づく琉球文化との繋がりと分かち難い戦争の歴史に触れることになる。現代の沖縄の盛り上がりとそれらは、常に表裏一体であることを感じさせる。
後編に綴る《Deepな沖縄を感じる旅》では、現代も抱える沖縄の根深い問題をさらに突きつけられる。まさにDeepな、沖縄の原点を辿る旅を振り返っていく。
