美術作家 / Artist

山本優美

Yamamoto Masami
  • 美術
    • 彫刻
    • インスタレーション
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Profile

プロフィール
1983 年大阪生まれ、5才より兵庫県神戸市で育つ
2007 年金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸科陶磁専攻 卒業
2009 年ベルギー国立ラ・カンブル美術大学 セラミックコース 修士課程修了
2014 年金沢卯辰山工芸工房 技術研修修了
以後、金沢を制作拠点に国内外で作品を発表

※主な活動実績は PR 欄をご覧ください

現代アートを志向しながら、工芸領域において学んだことをきっかけに、「焼き物」の素材の特性や制作のプロセスを、現代のアート表現としてどのように捉え、今日の多様な芸術表現や社会状況と共振させることができるかを模索している。

焼き物の素材の特性やプロセスに「記憶メディア」としての意味を与え、かつての持ち主の記憶を宿す衣服をモデルにしながら手作業で粘土に彫り刻む焼き物の立体作品を 10 年以上に渡り制作し続けている。近年は、先述の焼き物のシリーズのなかで取り組んできた人間の生の記憶や時間をテーマに、古着や古布を脱色するという手法で新たな作品を展開している。

Message

メッセージ
私は 2011 年ごろより、かつて誰かが身に着けた古着の皴襞を観察し、そのイメージを粘土の塊へ刻み、衣類の持つ記憶を焼き物に手作業で置き換えるという作品を制作・発表している。身体に最も近いところにあり、持ち主の内面と密接に関わる衣服は、皴襞その歪みや変形にかつての持ち主の心身の記憶を宿している。

日常において、衣服を形作っている布自体は変化し、留まることなく、容易に色あせ朽ちていく。一方で、焼き物は焼かれることで粘土の組成に化学変化が起こり、割れるまで与えられた形を半永久的にとどめ続けることになる。私はこのような素材の特性や焼成のプロセスに触れるうちに、焼き物には与えられた形をとどめる「記憶メディア」としての性質があると考えるようになった。

現代のクラウドシステムから印刷物、石に刻まれた像まで、記憶メディアは様々な時代の様々なかたちで存在している。では焼き物の記憶メディアとしての今日的な意味とは何であろうか。

土の肌やひび割れ、焼き物の生々しい表情には、手触りなど私の身体感覚を呼び覚ますような強い存在感がある。空気を孕んで変化し続ける、持ち主たちの生命の痕跡を宿した衣服を手作業で、作家の身体を通じて粘土に刻むことは、人々の記憶とともに、作家自身の身体性や時間をも織り込んでいくような感覚がある。このような感覚と意識から生み出される衣服の像は、人の手で作られるからこそ混ざり込んでしまう様々なものを含み、単なる写実表現や模刻とは質を異にする、根源的で複層的な記憶の一形態となる。

■個展(一部を抜粋)
2022年 日常は薄光りする/ Gallery HAYASHI+Art Bridge(東京)
2021年 記憶の手ざわり/ Hiinaaction Gallery(金沢)
2018年 コロモガエ out grow / Gallery OUT of PLACE(東京)
     間(あわい)を読む / Gallery 無量(砺波)
2015年 存在の感触 / 株式会社ワコール本社(京都)
2014年 SICF15 グランプリアーティスト展「うつしみ」/ スパイラル(東京)

■グループ展・フェアー(一部を抜粋)
2021 Art Collaboration Kyoto / Gallery OUT of PLACE ブース/京都国際会館
2020 CADAN showcase 02 Summer time Blues / CADAN 有楽町(東京)
   きのふいらつしつてください / 企画・彗星倶楽部(金沢)
2019 美の予感 -∞directions- / 日本橋高島屋、大坂・京都・名古屋各店巡回
2018 MATERIAL×ART / 石川伝統産業工芸館(金沢)
   3331Art Fair / 3331Arts Chiyoda(東京)
2016 コレクションI ぬう Nous / 金沢21世紀美術館
2014 ゲンビどこでも企画公募2014 / 広島市現代美術館
   Agnès loves Japon / 新宿伊勢丹・アニエスベー青山店

※より詳細な活動実績はウェブサイトをご覧ください